どっと読む3/26号(第1074号)
日銀、17年ぶりに利上げを決定
3月19日の日銀金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の柱となるマイナス金利政策の解除を決定した。長期金利を低く抑える長短金利操作も撤廃し、3月21日から政策金利を0~0.1%とするとともに、上場投資信託(ETF)の新規買い入れも終了する一方、金利の急上昇を防ぐために長期国債の買い入れは続けるとした。金融政策決定会合では賃金と物価が揃って上がる好循環が強まったと判断し、今回の金融政策へ転換した。
エンゲル係数、40年ぶりの高水準
総務省の家計調査によると、2023年のエンゲル係数は27.8%に達し、1983年以来40年ぶりの高水準にあることが分かった。最も低かった2005年の22.9%に比べ、4.9ポイントも上昇していた。エンゲル係数は家計の消費支出に占める食費の割合を示すもので、食料への支出割合が高くなっており、家計にゆとりがないことを如実に示している。内閣府が昨年行なった食品購入時の意識調査でも、値上げにより安価な食品に切り替えた人が59.5%に上り、生活防衛意識の高まりを見せていた。
今春闘、パートの平均賃上げ率6.45%
連合傘下で最大の産業別労働組合「UAゼンセン」の今春闘妥結した平均賃上げ率は正社員で5.91%、パートタイムで6.45%となり、いずれも過去最高を記録したことが明らかになった。平均賃上げ率は正社員が月給ベース、パートが時給ベースで、パートの賃上げ率が正社員を上回るのは2017年春闘から8年連続となる。UAゼンセンでは、「正社員とパートの格差を是正するような賃上げだ」と評価するとともに、「今年は首都圏と地方の格差も昨年よりも小さくなっている」とみている。
個人金融資産、過去最高の2141兆円
日銀の2023年10~12月期の資金循環統計によると、12月末時点での個人が保有する金融資産は過去最高の2141兆円に上ることが分かった。前年同月比5.1%増となり、5四半期連続で過去最高を更新した。個人資産の内訳をみると、現金・預金が1.0%増の1127兆円、株価上昇の流れを受けて投資信託が22.4%増の106兆円、株式等が29.2%増の276兆円、保険は0.7%増の381兆円となっている。企業業績が好調なことから株価が上昇していることが背景にある。
2020年の買い物弱者、全国で904万人
農林水産省の推計によると、スーパーやコンビニがちかくになく、自動車も使えないことから買い物が困難な「買い物弱者」(65歳以上)が2020年時点で全国に904万3千人になると発表した。65歳以上の人口の25.6%に達している。都市部でも飲食料品店の減少や大型商業施設の郊外化などから買い物を不便感じるケースが増えている。都道府県別にみると、買い物弱者の割合が高かったのは離島の多い長崎の41.0%で、青森(37.1%)、秋田(33.8%)が続いた。
内閣府調査で6割が「経済的ゆとりない」
内閣府が18歳以上を対象にした「社会意識に関する世論調査」で63.2%が「経済的ゆとりと見通しが持てない」と答えていることが分かった。現在、社会で満足していない点を聞く調査だが、「経済的ゆとりと見通しが持てない」との回答は調査開始の2008年以降で最も高かった。日本の状況で悪い方向に向かっている分野を尋ねたところ(複数回答)、「物価」が最多の69.4%で、「国の財政」(58.4%)、「景気」(58.1%)が続いた。
7割超が「61歳以上も働きたい」
内閣府の生活設計と年金に関する世論調査で、「何歳まで仕事をしたいか」を尋ねたところ、「61歳以上」と答えた人が71.1%に上ることが分かった。内訳では、「61~65歳」が最も多い28.5%で、「66~70歳」(21.5%)、「71~75歳」(11.4%)が続いた。それぞれの年齢まで働きたい理由を尋ねたところ、「生活の糧を得るため」が最多の75.2%だった。また、厚生年金を受給できる年齢なった時の働き方について、44.4%の人が「年金額が減らないように就業時間を調整しながら働く」と答えていた。
女性医師、初めて8万人を超える
厚生労働省の発表によると、2022年12月末時点での女性医師は8万1139人となり、初めて8万人を超えたことが明らかになった。2022年の医師は34万3275人で、うち女性が23.6%を占めた。また、薬剤師も過去最多の19万9507人に上った。大学の医学部入試で女性受験生を不利に扱っていたことが明らかになった2018年以降、不公平な対応が改める動きが加速してきており、女性医師は今後さらに増加とするとみられている。