どっと読む11/5号(第1105号)
世銀、原油92ドル近辺への急上昇を予測
世界銀行は商品市場見通しで中東情勢の悪化で、この地域からの原油輸出が著しく減少した場合、国際指標である英国産ブレント相場が一時的に1バーレル=92ドル近辺まで急上昇するとの予測を発表した。世銀では中東情勢の混迷が深刻化した場合、2024年末に供給量は、2003年のイラク戦争や2011年のリビア内戦時の日量200万バーレルまで落ち込むとしている。現在は71ドル台で推移しているが、約3割上昇するとみている。
今年の賃上げ、初めて1万円を超える
厚生労働省の2024年賃上げ実態調査で1人当たりの平均賃金の引上げ額は前年比2,524円高い1万1961円だったと発表した。引き上げ率は過去最高の4.1%で、引き上げ額も1999年以降で25年ぶりに最高となった。また、今年、賃金を引き上げた(予定を含む)企業は91.2%に上り、過去最高を更新した。賃金改定で重視したのは「企業の実績」(35.2%)が最多で、「労働力の確保・定着」(14.3%)、「雇用の維持」(12.8%)が続き、人手不足の深刻だけに人材流出を防ぐ狙いがあったとみられる。
今年度成長率、0.7%増と政府予測
内閣府は経済財政諮問会議で2024年度の実質国内総生産(GDP)を前年度比0.7%となる見通しを示した。7月に0.9%増との見通しから引き下げたことになり、新型コロナウイルス禍後、最低水準となる。GDPを下方修正した背景には、自動車大手の認証不正から出荷や輸出が低調となったことが挙げられている。また、内閣府は2024年度の消費者物価指数の見通しで2.6%上昇するとの試算も示した。石破首相は会議で「物価上昇を上回る賃金の増加を定着させる」との意欲を示した。
熱中症救急搬送、最多更新の約10万人
総務省消防庁は5~9月に熱中症で救急搬送された人は全国で9万5137人となり、これまで最多だった2018年(9万5137人)を上回り、最多を更新した。とくに、9月は全国各地で最高気温が35度以上の猛暑となり、9月の単月だけで過去最多となる1万1503人となった。また、搬送者数のうち、死者はこのうち120人で、3週間の入院を要する重症者は2178人だった。発生場所の38.0%が敷地内の庭や畑などを含む「住居」だった。
建設業の倒産、過去10年で最多ペース
帝国データバンクのまとめによると、2024年の建設業の倒産(負債額1千万円以上)は10月までに1566件となり、前年をさらに上回るペースで増えていることが分かった。同社では「過去10年で最多を更新する見込みだ」としている。倒産の背景には、木材をはじめ建設資材高騰に加え、職人不足と人件費高騰が中小建設業の経営を圧迫していることが挙げられている。また、戸建て住宅などの価格高騰や金利上昇から「住宅着工が振るわない」との声も聞かれ、中小零細規模の建設業での倒産が続く可能性が高まっている。
11月の電気・ガス料金、値上がりへ
政府が酷暑対策で行ってきている電気・ガス代の補助金支給が10月使用分で終了するため、11月使用分(12月請求分)からは値上がりすることとなる。電力大手10社の11月使用分は標準世帯で前月比513~650円値上がりすると発表している。一方、東京ガスなど大手4社のガス料金は前月比209~274円値上がりするとしている。政府は総合経済対策について11月をめどにまとめる予定で、電気・ガス代などの値上がりに対する支援策が検討されている。
不登校の小中学生、過去最多の34万人
文部科学省は2023年度に全国の国公私立小中学校で不登校と判断された児童生徒は34万6482人だったと発表した。前年度から15.9%もの急増で11年連続増加してきており、過去最多を更新した。不登校は病気や経済的理由ではない要因で30日以上登校しない状況を指すもの。増えている状況について、同省では「不登校が休養や自分を見つめ直す機会になるとの認識が保護者間で広がった」と分析している。一方、「いじめ」の認知件数は約7%増の73万2568件だった。
85%が訪日客のマナー違反を懸念
内閣府が全国3千人を対象にした世論調査で、国立公園への訪日客の増加に対する受け止めを尋ねたところ(複数回答)、「ルール、マナー違反が増えないか心配」との回答が最多の85.8%だった。次いで、「経済効果が期待できそう」(45.9%)、「地域活性化が期待できそう」(28.3%)と好意的な意見が続いた。受け止め方で最も多かった訪日客の懸念や危惧する声に対し、内閣府では「適切利用の普及啓発や対策を進める」としている。