どっと読む11/28号(第1058号)
景気判断、10ヵ月ぶりに引下げ
政府は11月の月例経済報告で景気判断について「このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している」とし、前月の「緩やかに回復している」から引き下げた。引き下げは10ヵ月ぶりとなる。景気判断の基礎となる輸出入や個人消費は判断を維持したものの、設備投資は「持ち直している」から「持ち直しに足踏みがみられる」と引き下げている。内閣府の担当者は「内需が力強さを欠いている」とみている。国内景気が今後、回復軌道に乗るかどうかは不透明だとの指摘の声も出ている。
世界の温室ガス排出量、過去最多
国連環境計画(UNEP)は世界の2022年の温室効果ガス排出量は前年より1.2%増となり、過去最多を記録したと発表した。二酸化炭素(Co2)の換算で574億トンに上った。その上で、UNEPは「産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるとするパリ協定の目標が達成できる確率は最大で14%しかない」と指摘するとともに、今年が観測史上最も暑い年になる見通しとなる状況に関して「人類は気候変動に関し誤った記録を塗り替えており、軌道修正すべきだ」と脱炭素を速やかに行うよう訴えた。
1~9月出生数57万人、通年最少更新も
厚生労働省が発表した人口動態統計によると、1~9月の出生数は56万9656人でだったことが分かった。前年同期比5.0%の減少で、このままのペースで進めば2023年通年での出生数は70万人台半ばとなる見通しで、過去最少を更新する可能性が高まってきた。また、発表された人口動態統計によると、2023年1~9月の婚姻数は同4.4%減の36万5478組。死亡数は同1.6%増の117万6330人で、出生数と差し引いた自然減は60万6674人だった。
富裕層の申告漏れ所得総額は980億円
国税庁の発表によると、今年6月までの1年間に実施した個人の所得税の税務調査で、高所得者や不動産の大口所有者などの富裕層の申告漏れ総所得金額は980億円に上ることが分かった。前年度比16.8%増で、2009年度以降、2年度連続で過去最高となっている。また、全体の調査件数は約63万8千件で、申告漏れ所得総額は9041億円となり、追徴税額は1368億円だった。さらに、無申告者の税務調査で申告漏れ所得の総額は247億円に上り、追徴税額は過去最高の57億円だった。
タクシー運転手、14%の事業者で半減
帝国データバンクの調べによると、国内でタクシーやハイヤー事業を営む事業者のうち、10年間でドライバーなどの従業員が半数以下に減少した事業所は14.5%となっていることが明らかになった。10年前から従業員減った事業者は69.7%となっていた。背景に、新型コロナウイルス禍で需要が落ち込み、離職者が相次ぎ、離職者の多くが復帰していないことが挙げられている。従業員が半減した事業者を都道府県別にみると、茨城が最も高い29.2%で、香川(29.0%)、奈良(25.0%)が続いた。
短大生、ピーク時から30年間で84%減
文部科学省の学校基本調査で、2023年度の短大の学生数はピーク時の1993年度から84%減の8万6686人だったことが分かった。また、日本私立学校振興・共済事業団が2023年度に集計した私立短大276校のうち定員割れとなった短大は92%(254校)に上っている。短大生が大幅な減少の背景には、少子化の進展に加え、職業意識の変化や女性の社会進出の進展から四年制大学への人気が高まったことが挙げられている。こうした実情から短大の閉鎖や四年制大学への組織再編が相次いでいる。
移住相談件数、最多の37万件に
総務省の発表によると、全国の都道府県と市町村が2022年度に受け付けた移住に関する相談を受け付けた件数は37万332件だった。前年度から約4万6千件多く、調査を開始した2015年度以降で最も多かった。相談件数の増加率を都道府県別にみると、大阪が80%増で最多となり、佐賀(60%増)、愛媛(45%増)が続いた。相談件数が増加した背景について「新型コロナウイルス対策の緩和に伴う対面相談の再開やテレワーク普及を背景とした関心の高さが要因」と同省は分析している。
犬飼育の高齢者、認知症リスクが低く
東京都健康長寿医療センターが65歳以上の男女を対象に2016年2020年までの4年間で認知症を発症した人は5%で、犬を飼っている人は飼っていない人に比べ、認知症になるリスクが40%低かったことが分かった。ペット飼育と認知症との関連を明らかにしたのは初めて。犬を飼っている人のうち、運動習慣がある人や社会的に孤立していない人の方が発症リスクは低い傾向にあった。同センターでは「散歩を介した運動や知人の広がりが飼い主への良い影響をもたらしてている」と指摘している。