どっと読む10/18号(第1001号)
加速する円安、32年ぶりに148円台後半
10月18日の外国為替市場で円相場は1ドル=149円台をつけ、1990年8月以来、32年ぶりの安値となった。1ドル=150円台突入が視野に入るほどの急激な円安の背景には、米国での高いインフレを抑制するために米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを相次いで行っており、日米での金利差が拡大していることが挙げられている。9月22日に政府・日銀が為替介入したが、再び介入するかどうかに焦点が集まっている。
企業物価指数、1960年以降で最高に
日銀は9月の国内企業物価指数(2020年平均=100)が前年同月比9.7%上昇の116.3だったと発表した。19カ月連続で前年同月を上回り、指数の116.3は統計を開始した1960年以降で最も高かった。ロシアのウクライナ侵攻や円安により、エネルギー価格や原材料の輸入価格が高止まりしていることが背景にある。とりわけ、円安が1ドル=150円台突入も視野に入っている状況下で一段の企業物価指数の上昇が現実視されており、企業は価格転嫁を余儀なくされ、家計負担がさらに増す構図となっている。
IMF、来年の世界実質成長率2.7%に
国際通貨基金(IMF)は2023年の世界の実質経済成長率見通しで前回の7月時点から0.2ポイント下方修正の2.7%と予測した。IMFは来年の経済見通しで、世界的なエネルギー高や物価高で、賃金の伸びを上回り、消費が減退していることを指摘している。また、先行きについてIMFは「下振れのリスクが依然として異常に大きい」として、さらなる下方修正を行う考えを示唆している。日本については0.1ポイント引き下げの1.6%と予測し、世界全体の成長率見通しを下回っている。
米消費者物価指数、8.2%上昇
米労働省は9月の消費者物価指数は前年同月比8.2%の上昇になったと発表した。伸び率は原油相場価格の下落があり3カ月連続で下落したものの、依然として高い水準にある。とくに、変動が著しい食品とエネルギーを除く「コア指数」は前年同月比6.6%の上昇で、1982年以来40年ぶりの大きさとなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)はこうしたインフレの抑制を図るため、さらなる利上げを続ける姿勢を崩しておらず、一段の円安が進みかねない状況にある。
8月の経常黒字、過去最少の589億円
財務省が発表した8月の国際収支によると、貿易や投資による黒字額は前年同月比96.1%減の589億円となり、比較可能な1985年以降、8月としては過去最少となったことが明らかになった。円安によりエネルギー価格の高騰が響き輸入額が大幅に増え、貿易赤字が2兆4900億円まで膨らんだのが主因だ。一方、円安により海外株式の配当金などを含む第一次所得収支は3兆3000億円余りの黒字となり、全期間を通じて過去最大となった。
「仕事と生活」の満足度は5点
内閣府が全国の15~89歳を対象に実施した「生活度満足度に関する調査」で、「仕事と生活(ワークライフバランス)」の満足度は10点満点で5.36点だったことが分かった。コロナ禍前より仕事の時間が減った人は半数を超える55.4%で、仕事時間が減った男性は「健康状態の満足度」が高くなる傾向がみられた。通勤時間が減ったと答えたのは26.4%で、内閣府では「通勤時間が元々長かったうえ、テレワークの実施率が高まった」とみている。
銀行・信金の貸出残高は最高を更新
日銀は9月の貸出・預金動向で、銀行・信金計の貸出平残は前年比2.3%増の590兆5365億円に上ることが明らかになった。伸び率は2021年5月以来の高い水準にあり、貸出残高は過去最高を更新した。都銀等の貸出平残が2.4%増、地銀・大地銀は2.8%増となっている。日銀担当者は「企業の手元資金は全体として厚目に確保されているが、先行きどうなるか注視していきたい」としている。一方、預金平残は前年比2.7%増の1015兆4390億円だった。
4‐9月期企業倒産、3年ぶりの増加に
帝国データバンクの発表によると、2022年上半期(4~9月)の企業倒産は3123件に上り、前年同期の2938件を上回っていることが分かった。年度上半期としては3年ぶりに増加に転じたことになり、コロナ禍で中小企業経営を支えた「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」の本格的な返済局面入りし、さらに借り入れ負債が経営の重しとなり、倒産企業が増加に転じていくとみられている。4~9月期の倒産企業の負債総額は1兆9500億円(前年同期5784億円)と3倍強に膨らみ、5年ぶりに1兆円台になっている。